転職ばっかりしているために、労働基準法や雇用保険にムダに詳しくなったった

法学部中退したが、法律は好きな人が書いた労務にまつわることを書いております。間違いがあったらスミマセン。

【セクハラ・イジメで会社を辞めるときの対処法とは②】

<<派遣先会社にもセクハラ防止の義務がある>>

労働者派遣法第47条の2により、労働者派遣が行われる場合には、派遣先事業主は、自主の従業員と同様に派遣者員についてはセクハラやイジメが起こらないよう雇用管理上や指揮命令上の配慮が必要です。

 

<<イジメにあった・・・対策は?>>

いじめにあったときには、まず職場の信頼のおける同僚に相談します。次に社内に苦情処理機関がある場合はそのルールにしたがって苦情の申し立てを行い、さらに信頼できる上司または経営者に事実を知らせ対処するように申し入れます。それでも解決しないときは労働組合や労政事務所などに相談するほうがいいでしょう。

そこでも解決しないときは法的手段をとるしかありません。イジメた相手を不法行為者として、会社を使用者責任として損害賠償(慰謝料)請求をするなどの方法をとることも考慮するほうがいいでしょう。

また、労働契約上の不随義務として「就業環境配慮義務」が会社にあるとして「債務不履行」といった損害賠償請求も可能です。

 

<<会社がセクハラ・イジメを防ぐには・・・>>

一度発生すると気まずいです。労使双方にとって未然に防ぐことが大切ですよね。

  1. 企業方針としてセクハラやイジメを許さない姿勢を明確化する
  2. 就業規則や社内報などで社員に通知する
  3. 職場内でアンケートなどを行い、実態を把握する
  4. 従業員に対してセクハラやイジメの定期的研修を行う
  5. 職場内に相談窓口と苦情処理機関を設置する
  6. 万が一、セクハラ・イジメの訴えがある場合は速やな適正対処をする

 

実際は以上のことを各会社の人事部/課が行っていることが多いようですね。(´・ω・`)

【セクハラ・イジメの退職は失業保険が手厚い】

<<セクハラで退職した・・・失業保険は?>>

会社でのセクハラの事実を会社側が把握していながら雇用管理上の措置をしなかった場合の離職は、男女雇用機会均等法の第21条に規定されています。

この場合の離職は「自己都合」ではなく実質の「解雇」にあたります。

当然、会社都合の離職扱いと同様の失業保険対象になります。

セクハラを受けた労働者が会社側に相談しているにも関わらず、一定期間(だいたい1か月)経過後も会社側が働くことを続けるうえで必要な改善をしなかったために、退職に追い込まれた場合が対象になります。

その他、事業主が直接の当事者で、それが原因で仕事を辞めたりしたときや対価型セクハラに該当するような配置転換、降格、減給などの事実があり、それが原因で仕事を辞めた時も該当します。

しかし、ここで注意が必要です。視覚型セクハラ(会社にヌードの写真を張るなどで、それを見て苦痛に感じて業務に専念できない 等)については原則としてこの規定に該当しません。

 

<<イジメによる退職の失業保険は?>>

会社での故意の冷遇、または除け者扱いによって離職した場合は、通常の自己都合退職ではなく特定受給資格者に該当し、給付が厚くなっています。特定の個人を対象とした配置転換、または給与体系等の変更が行われた時が該当します。

ただし、会社の管理者が職務上の失態があった場合に注意・叱責することは通常起こり得ることよりそのことだけをもってこの基準にはあてはまりません。

 

以上のセクハラ・イジメによる退職と認定を受けるには、特定個人を対象とする配置転換の辞令の写し、就業規則、労働契約書、賃金台帳などの証拠が必要になります。

【セクハラ・イジメで会社を辞めるときの対処法とは①】

・会社にもセクハラ防止の配慮義務がある

・ますは会社の責任者に相談してから公的機関に相談する

・セクハラ・イジメの退職には手厚い失業給付がある

<<会社には配慮義務がある>>

職場でのセクシャルハラスメントは、会社ならどこでもおきるリスクをもっています。そして、日常的な問題です。「セクハラ」を具体的に規定している法律は「雇用の分野における男女の均等な機会や待遇の確保などに関する法律」、よくしられたことばでいうと「男女雇用機会均等法」第21条です。

また、厚生労働大臣事業主が配慮しなければならない事項について指針を定めています。

<<セクハラにあったときの対策>>

第一には会社の責任者にその旨を告げて善処してもらいます。しかし、会社の対応が甘く改善されないときには、会社の管轄となる都道府県労働局女性少年室に相談しましょう。

男女雇用機会均等法で「都道府県労働局長は指針に照らし必要であれば職場におけるセクハラに関し事業主に対して報告を求め、または助言・指導もしくは勧告可能」となっており、相当な解決力になるはずです。それでもなお、続くのであれば最終手段として訴訟に持ち込むことになります。

【会社が破産・・・給料はどうやってもらう?】

会社が破産したときには「立替払」の制度があることは前回お話しました(*´Д`)

立替払いは最初の破産申し立てがあった日の6か月前の日から2年以内に退職した従業員の請求に基づいて実施されます。

 

<<破産した会社に賃金を請求する方法>>

  1. 「未払賃金の立替払請求書」を労働基準監督署で入手します
  2. 「未払賃金の立替払請求書」に破産宣告の裁判所等の証明書を添付

3. 「未払賃金の立替払請求書」を破産宣告などの日から2年以内に「労働者健康福祉機構」に請求します。

*裁判所等の証明書を手に入れることができない場合は、事業所を所轄する労働基準監督署長を経由で、事業主の住所地を管轄する労働基準監督署長に対して、賃金支払い不可の状態であることの認定を請求した後、立替払の請求を受けなければなりません。

 

<<会社が事実上の倒産したときに賃金を請求する方法>>

会社が倒産した場合には、倒産した企業の本社を管轄する労働基準監督署長に「認定申請書」を提出、会社が倒産して事業活動が停止して、事業再開の見込みがない、また賃金の支払能力がないことを認定してもらってください。

*同じ会社のほかの従業員が認定を受けている場合は必要ないです。

労働者健康福祉機構では、提出された「未払賃金の立替払請求書」などの書類を審査して、請求の内容が法令の要件を満たしていると認められたときは、請求者が指定した金融機関(銀行など)を通じ立替払金を振り込んでくれます。

 

その後は、労働者健康福祉機構が立替払金相当分を本来の支払い責任者である事業者に求償します。

【倒産したら給料はもらえないのか】

会社が倒産したときに退職者に一定の範囲の賃金について事業者にかわって国が立て替える制度があります。

ただし、つぎの3点を充たしている必要があります。

1.労災保険に1年以上加入している事業所の労働者である

2.次のいづれかの倒産による退職者であること

・破産手続開始

特別清算手続開始

民事再生手続開始

・整理開始

・会社更生手続開始

・中小企業事業主が労働者の賃金を支払うことができない状態になったとし、労働基準監督署長の認定がある場合

3.最初の倒産した日の6か月前の日から2年以内に退職した労働者であり、未払いの賃金がある場合

立替払の対象となる未払賃金は、退職日の6か月前の日から労働健康福祉奇行に対する立替払請求日の前日までの間に支払期日が到来した「定期賃金」「退職手当」であり、未払いのものです。

 

ここで注意が必要です。未払賃金には年齢により上限額があります。

1.退職日における年齢が30歳未満

立替払の上限:88万円  未払賃金総額の限度額:110万円

2.退職日における年齢が30歳以上45歳未満

立替払の上限:176万円  未払賃金総額の限度額:220万円

3.退職日における年齢が45歳以上

立替払の上限:296万円  未払賃金総額の限度額:370万円

*ただし、未払賃金の総額が2万円未満の場合は、立替払を認められません

【会社が倒産 対処法は?②】

先日に引き続き、倒産の種類について・・・

前回からワケのわからない単語がでてきていますが・・・とりあえず参考にまでとおもい続けて書いてみます。

 

<<民事再生法>>

いわば会社更生の縮小版みたいな方法です。ただし、大きな違いは会社更生の場合は経営陣が実権を失うのに対して、民事再生は経営の実権がそのまま元の経営陣に残されるということです。

債権の切り離しや繰り延べなどそれまでの債務の処理を行い、今後の経営方針の内容を書いた再生計画を立て、会社の再建をはかります。申し立ての要件も緩和されます。

民事再生法では「賃金債権の優先確保のための一定の手続き規定」「再建計画案の作成、認可、営業譲渡などにおける労働組合関与の規定」「労働協約と労働契約の継続」「担保権消滅の制度化」「監督委員の配置による実効性の確保」などが主に行われます。

 

<<破産>>

民事再生とは異なり、清算型です。どういうことかというと、残っている財産を債権者の優先順位と債権額に応じて公平に配当していきます。当然、営業は廃止されます。

債務者は裁判所に破産の申し立てを行い、裁判所によって可否が決められます。

破産管財人により、財産を整理されます。賃金、退職金は破産手続きのなかで配当され、通常の訴訟や強制執行は不可能になります。

 

<<特別清算>>

商法上の制度です。解散後の株式会社が対象となります。(主に債務超過の恐れがある会社です。)目的は破産を防ぐことにあり、清算中の会社が破産状態にならずに清算を行うための手段として採用されます。申し立ては債権者清算人または株主です。

 

<<その他>>

企業が支払不能や債務超過に陥ったときにいままで説明した法的手続き以外に一部の大口債権者と話し合い、債務の棚上げなどで内々に整理するのが「内整理」とよばれています。これは私的な整理といえます。

【会社が倒産 対処法は?①】

「会社が倒産するかもしれない・・・」

こんなコトバは生きているウチに聞きたくないですが、実際に存在するコトです。

もし、働いている会社の上司から「会社が倒産するかもしれない」

そんなことを聞いたら? まずは「会社が倒産」とはどんなことか簡単に説明します。

 

<<銀行取引停止処分>>

ちょっと難しい話になりますが、全国各地の手形交換所では、企業の経済活動の基本となる手形・小切手などの交換決済を行っています。

そのなかでも、手形・小切手の信用を維持向上させるために「不渡り」したものに対して、不渡り処分制度というものがあります。

これは債務者が降り出した手形を期日が来ても決済できず不渡りになり、それから6か月以内に2回目の不渡りを出すと、「銀行取引停止処分」として、処分日から2年間は同一手形交換所に加盟しているすべての金融機関から、当座取引を開設して手形・小切手を振り出したり、貸付による借入金もできなくなります。

この種の倒産を任意整理・私的整理といいます。

 

<<会社更生>>

経営を立て直す、いわゆる「再建」の見込みのある株式会社が債務減免や繰り延べを行いながら再建を目指す債務整理の方法をいいます。

株式会社を存続させることを目的としています。

資本の10分の1以上にあたる再建を有する債権者または発行済み株式の10分の1以上の株式を持っている株主が申し立てできます。

会社の更生手続き開始と同時に、会社は財産の管理処分権を失い、管財人が権利を持ちます。管財人は更生計画案を作成して、関係人集会の賛成と裁判所の認可により成立します。